山梨医科学雑誌 第21巻1号 001-007(2006)

<総説>
真性赤血球増加症:最新の話題

小 松 則 夫

要 旨:真性赤血球増加症polycythemia vera(PV)は多能性血液幹細胞の腫瘍性増殖による骨髄増殖性疾患の一つで,特に赤血球数および総血液量の著しい絶対的な増加を特徴とする。診断にはPV study group による古典的診断基準が用いられているが,最近ではWHOによる新しい診断基準が提唱され,血清エリスロポエチン濃度の低下,内因性赤芽球系コロニー形成などが加えられ,より実用的なものになっている。赤血球産生には造血因子であるエリスロポエチンが必須であるが,ごく最近,PV 患者においてこの造血因子の細胞内シグナル伝達に中心的役割を果たすJAK2 チロシンキナーゼの遺伝子変異が報告された。この遺伝子変異によってJH2 領域の617 番目のバリンがフェニルアラニンに置換し,そのためJH2 の本来の機能であるJAK2 のチロシンキナーゼ活性を抑制する機能が作動しなくなり,細胞内へのシグナル伝達が亢進することになる。実際,この変異遺伝子を導入した骨髄細胞を移植されたマウスは赤血球増加症を来すことから,この遺伝子変異がPVの発症に重要な役割を演じていることは明らかである。

真性赤血球増加症,本態性血小板血症,慢性特発性骨髄線維症,JAK2 チロシンキナーゼ,エリスロポエチン



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